TOEFLでキーになる「数字」を紹介します。長いですが、今後の勉強の動機づけのためにも、じっくり読んでください。

1) (iBT)TOEFL=109
HBS(ハーバードビジネススクール)に入学するinternational studentsに要求されているスコアです。ほとんどの大学(院)は、これより低いです。だからこの数字を達成すれば、ご自身の可能性は最大限に広がるわけです。現在のあなたのスコアにかかわらず、このスコアを叩き出すために必要なこと全てを、基本的なことから超応用まで、セミナーや土曜レギュラークラス(2016年3月より)などを通して、お届けします。
現在スコアは悪くても仕方ありません。足りないものを補い、やったことのない訓練を積むことで、スコアを上げる以外、道はありません。ただし、現在スコアが低い人が1年後に109をとる、というのは、考えにくいことです。もっと長期的に考えることも大切です。また、現在すでに105ある、と言っても、105を超えると、1点あげるのに、相当の困難があります。Readingが1点上がったと思えば、Listeningが2点下がっている、とか。Speakingで準備していたお題が出て調子が良かったのに、いつもできるはずのWritingがダメだった、とか、です。この4つのセクションが全てうまくそろわないとスコアが上がらないわけです。
 
2) Speaking=23
みなさんのまわりにいらっしゃる「ペラペラの帰国子女」の方が相当の訓練を積まずに受験したら、平均20~22点くらいに収まることでしょう。つまり、Speaking=23というのは、英語で話すことが「できる」「できない」に分けたとき、「日本人離れしているほどに、できる」組に分類される重要な指標です。英語を話したい、と思う人が最初にクリアするべき関門です。しかし、これを通過できる人はこの国ではごく少数です。でも、このスコアをとらないと、全体で109を出すことが大変厳しくなります。
 
このSp=23とは、それでは具体的にはどのように換算されてくるのか、を考えます。Speakingセクションは合計6問あります。この6問がそれぞれ4点満点で採点されます。
換算は、おおむね、この換算表に基づいてされます。つまり、平均で3.0のとき、23点がとれるわけです。そして24点と23点の間には信じられないくらい大きなgapがあります。つまり、23点をとるには、全ての問題に3点をとればよいわけですが、24であるには、少なくとも1問は4点満点をとれる実力がなければならないからです。満点、というのは、世界中のノンネイティブを4段階という大まかなレンジで分けたときの、最上位です。3段階の下層部が、ほぼ2点であることを考えると、4点のレンジに入ることはよほどのレベルといえます。
 
しかし、いつも全ての問題で3点が安定的にとれるわけでもありません。思わぬ内容が出たり、重要な語を聞き取り逃したりすることだってあるでしょう。だからいくつかの問題は2点になることも計算に入れておかねばなりません。となると、その時に、満点をとることでカバーできる問題もなければ23点がとれないわけです。
 
したがって、土曜レギュラークラスや、オンラインのスピーキングコースでは、満点をとることも意識した勉強・練習をやっていくことにしています。
もちろん、2点をとれれば!という受験生もいらっしゃると思いますが、実は、2点はほぼ「ノー勉」で大丈夫です。1点が「声が出ていればとれる」スコアであることを考えると、2点は「目指して勉強する」ようなスコアではありません。実際、日本人のスコアは16点で、この平均2点をクリアしています(それが世界単独最低点でもありますが)。
したがって、スピーキングの勉強は、23(平均3点)を目指すところから始まります。
 
3) Speaking=26
スコアごとの最低スコアを要求する大学(院)でもSpeaking=25というのが最も高いです(で、実際のTOEFLには採点上Speaking=25というのは存在しないから、事実上26を要求されていることになります)。そして、アメリカの薬剤師の国家試験を受けるために、外国人に要求されているスコアもSpeaking=26で、資格系でもこれが最高のスコアです。他には、アメリカの大学院などでTA(Teaching Assistant)をするときに、Sp=26を要求する大学がある程度です。つまり、この26を獲得している以上、もはやこれ以上のスコアを叩き出す意味がない、という最高のスコアになります。
 
先ほどの換算表でいくと、26点になるには、全てで3点を出すのに加え、うち2問で4点満点をださないといけません。1問でも2点があれば、3問で満点を出すことになります。6問中、3問で満点が出せるspeaking能力を養うことになります。ノンネイティブとして、ほぼ最高の実力だといえます。逆に言うと、そう簡単には出せるものでもない、ということです。
 
ここからが大切です!
ところで、わたしはこれを「日本で育って、日本の教育を受けていたのではムリだ」という一言で終わらせるのは、情けないことだと思っています。そんなレベルの低い日本異質論を唱えていても、スコアは伸びません。日本の教育は意味があります。ただ、それは知識を教わるけれど、その知識の定着を試すテスト作成がへたくそな先生が多かった、というだけだと思います。中学生のころから、英語のテストを、先生との面接にしていたらどうでしょう。グループディスカッションで評価することになっていたらどうなっていたでしょう。テストが情けないために、せっかく学んだ知識が身につかなかったというだけだと思います。
今回、あなたはTOEFLを受験する機会に恵まれました
いままでの知識をフルに活かして、自分のこれまでの勉強を正当化したいとは思いませんか?あなたの知識を実際のテストで活用するためには練習が必要なだけです。そのギャップさえ埋まれば、スコアにもその努力と能力がきちんと反映されてきます。
 
「純ジャパ」「純ドメ」とかいって自分を卑下してTOEFLを恐れることはありません。むしろ、
自分の言語運用能力を初めて正当に評価される機会に恵まれた
と思うべきだと考えます。
 
その意味では、これまでずっと外国に暮らしている人も、全くアドバンテージはありません。このTOEFLというテストが要求している「能力」が養成されていない限り、スコアは出ないからです。
だから、単なる帰国子女というステータスだけでは、スコアは22だと思います(偶然にも養成されていれば、いきなり28とかとれると思いますが、当然のことです)。ただ、練習をすればある程度短期間であがる可能性は秘めているはずです。(だから、わたしは、むしろ自分が帰国子女だったほうが、プレッシャーもあったと思います。)
 
4) Writing=28
Integrated Writing(1番)、Independent Writing(2番)が5点満点で、それぞれ4点をとると、25点を獲得できます。けれど、それはあくまで満点ではない。
1番でも2番でも満点を1つ出さないと平均4.5はありません。
この4.5点(換算スコア28点!)は、Writingで5点満点がとれる能力があることを明確に示しています。
 
詳しい内容はセミナーなどに譲りますが、それぞれ5点満点の4点をとるところまでは、あまり困難ではありません。だから、ひとまず25をとれるようにがんばるべきです。ここに達していない受験生は、根本的に「大学の先生が読むに耐えるだけの英語が書けない」か「エッセーを書くことに対して根本的・致命的な誤解がある」かのどちらか、だと思います。日本の教育を受けて、あるとき突然TOEFLに出会ったという受験生(ほとんどだと思います)は、後者です。まずはこの誤解を解くだけで、25まではたどり着けると思います。
 
そこまでが4点。これを5点にするには、「英語そのもの」の向上が欠かせません。今まで自分が書いたことのないような表現を使う、ミスを少しでも少なくする、間違えてもいいからレベルの高い文法項目を使ってみる・・・いろいろと英語そのものを向上させることが必要です。無難に書いたのではスコアアップはありません。同じように評価されるだけですから。
 
5) Reading / Listening =29
1~4を見ると、R / Lが簡単なように見えますが、世界標準でいうと、最難関のセクションはReadingです。最後まで問題を解き終えること自体が困難なレベルです。しかし、日本の教育を受けて、日本の大学受験を経験し、TOEICですでに900を超え、日常の業務・勉強で、英文を読むことがある人にとっては、4つのセクションの中で最もスコアが期待できるし、ある意味Readingで取れなければどこでとるのか、というようなセクションでもあるわけです。ご自身のバックグラウンドの誇りをかけてスコアを叩き出してください。
 
わたしは、この期に及んで、Readingの「勉強法」を知らない日本人受験生がいるのか、疑問です。あなたはこれまでの人生で、英語=読解、という図式の勉強をしてきたはずです。それで結構です。それに加えて、信じられないくらいの大量の単語と、少しのスピードを身につければ、高位安定的にスコアメイクをすることは可能です。TOEFLのReading セクションは、素早く読んで大意を把握する、ということは要求していませんむしろ、「この文の意味をきちんと言うと?」「このexampleは何の例?」という、細かなdetailばかりが問われます。だから、わたしは、日本の大学受験準備的な読解方法で十分だと思います。ただ、大学受験と根本的に異なるのは、そのレベルと分量、です。
 
その分量に対処するには、「簡単な問題がすぐに正解できる」実力をつけること、です。そうすると、難しい問題を考える時間も捻出できるからです。TOEFLのreadingのスコアがいい人は、すばやく読めるわけではありません。ただ、簡単な問題に素早く答えられるから、難しい問題の正解率が上がる、というだけです。難しい問題は誰にとっても難しいです。ただ、時間さえあればなんとかなる。この時間の捻出をいかに可能にするか、これがTOEFLの対策になると思います。普段の「従来の読解の勉強」をどんどんこなして、スピードをあげるとよいと思います。そして途中で止まらず読むためのポイントがふたつあるとしたら、「語彙力強化」と「構文力強化」です。この2つが鍵です。
 
Listeningは、Speaking / Writingのセクションでも聞く作業が必要なことを考えると、TOEFLの中で最も安定的に高スコアを出すべきセクションです。このセクションが低いのに、Speakingだけを向上させることはできません。ですから、Listeningこそが、TOEFLの肝であり、最大の労力・時間・根性・お金・その他全ての資源を投入していくセクションです。
Listeningが不得意だという人がいますが、実は理由は次の2つに絞られます。ひとつは「語彙力不足」。せっかく聞こえても、単語の意味を知らないのでは何の足しにもなりません。知らない語は文脈で判断する!という日本の大学受験での鉄則が使えるほど、TOEFLが簡単ではないことは、もうご理解いただけていると思います。単語は暇さえあれば、意識的に記憶するべきでしょう。単語力があると、Listeningがもっと楽にできる、のです。で、Listeningができると、Speaking / Writingができる、ということなのです。その単語をspeakingで使う、とかいうのではありません。Listeningですこしでも自信を持って聞くための準備です。
 
もうひとつは「練習不足」となるのは当然です。個人差もあるでしょうから、現状で成果が出ていないのであれば、それを上回る練習を積むしかありません。毎日1時間聞いている、という人は、1.5時間聞きましょう。あるいは、「聞いている」というのがどういう状況なのかも再考するべきでしょう。「聞き流せる」ほどレベルの低いものではありません、TOEFL。しっかり単語・意味・パッセージの構造を把握しながら、確実に聞きましょう。要するに、毎回聞くたびに【メモをとる】ことが大切です。毎回です。もう記憶していても、まだまだしっかりとメモをとってください。そうすることで、このレクチャーのトピックは?メインアイデアは?具体例は?何のための引用?などが明確になっていくでしょう。何度もメモをとってください。いつの日か、そういうメモが頭の中に浮かび上がるでしょう。そしてメモを取らなくても、うまくマッピングできるようになるでしょう。ここまでが目標です。そうすると、1時間というのは、すこし集中するには長いくらいだと思います。それくらい集中して1時間毎日(1年365日のこと。たまに時間があったら、ではない!)聞いているのに、成果がでない、というのも、逆に考えにくいことです。
 
さて、ここまで、TOEFLのキーになる数字を追ってきました。これらのことを意識して、ぜひとも目標スコアを達成してください。
 
受験生のみなさんのご健闘をお祈りします。
留学のための しけんや英語塾
主宰 TOEFL受験コンサルタント 四軒家忍

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